塩の街 wish on my precious 有川浩

塩の街―wish on my precious 作:有川浩 イラスト:昭次 (電撃文庫)

塩の街―wish on my precious (電撃文庫)

街が「塩」に埋め尽くされていく『塩害』が激しくなってから、東京は様変わりした。崩壊寸前の人気のない街で、少女は窮地を助けてくれた男と暮らしていた。家事を手伝い、猫や犬を助けてきたりする真奈に辟易としながらも文句をいいつつ見守る秋庭。しかし平穏に見えた暮らしもやはり短く、三度の訪問者によって大きく変わっていく。

第十回電撃ゲーム小説大賞《大賞》受賞作。
LOVEです。やさしくて綺麗なお話だと思います。キーリといい塩の街といい、女の子取り込もうとしてるのかな。それとも審査員の趣味か……。でも兵器関連の記述が詳しくて、記号の羅列に見えてしまう子には反感がもたれるかも。えっ、知らん単語が出てくると悔しくなるのはわたしだけ? 男の子向け要素も女の子向け要素も入っているってことは裏返すと両方に反感がもたれてしまうかもしれないってことじゃないのかな。難しいところだ。

前半は短編連作風味に状況説明、後半はみんなの戦いの様子を。
塩害がどんなものなんだか詳しく説明されるのが後半ってのもちょっと辛かった。
それでも飛来したブツがなんなのかわかんないし、その作戦がどの程度効果があるのかも謎だし。東京だけじゃなく世界中にあるはずだし結構大変な作業なんじゃないだろうか。
それとか海の塩分濃度上がったら環境的には不都合はないのかね……いや、社会崩壊させるか東京湾崩壊させるか二択だったら後者を選ぶけどさ、世界中こんだけ塩が溢れてたらやっぱりやばいんじゃないかと。あ、海水温下がりそうだから温暖化問題は解消されるかもね。

あとがきの話。私ならきっと滅びることを選ぶ。そして自分の不幸に酔う。物事を解決できる力なんて与えられるはずないんだよねそんなネガティブな人には。とか最高に後ろ向きなことを考えながら。
真奈は秋庭を愛することができた。秋庭は事態を打開する技術を持っていた。入り江は自分のこと=みんなのことになるくらいスケールのでかい視野と天才的な頭脳を持っていた。『自分のこと』しか考えない人たちだったからこそ起こせた奇跡。やっぱり綺麗な物語。

それと、イラストの昭次さん。「埋葬惑星」のマフラー猫はかわいいと思ったんだけど、人はあんまり好みじゃないなぁと思った。色使いはきれいで大好きなんですが。口絵が強烈なネタバレ(?)だし。こっちの方が埋葬惑星より早く出たんだね。

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ライトノベルを中心に、ぐだぐだとバカなコメントを書きます。やってるときは燃え多め。

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