オーデュボンの祈り 伊坂幸太郎
オーデュボンの祈り 作:伊坂幸太郎(新潮ミステリー倶楽部または新潮文庫)
ISBN : 4-10-602767-4 発行年月 : 2000.12
また文庫でだいぶ改稿されてるらしい単行本。ぎゃあ。気になるので買う……?
ハードカバーには優午と地球がいるのよ。アマゾンさん
江戸時代から鎖国をしている、でも一台のボートだけが日本と行き来をしている一見普通な島で、世界中の出来事だけでなく未来のことも知っているしゃべるカカシ、優午が殺された。なぜ彼はそのことを他言しなかったのか。
ツッコミどころはたくさんあるんだけど、祈り、というニュアンスがやさしげで好きだ。動物学者の、絶滅してしまう鳥に対する祈り。
たまにはこういうファンタジーもいいねぇ。登場人物の突飛さがとてもいい。仙台に住む主人公からして突発的にコンビニ強盗してしまうから。
読んでしばらくしてからでもあとからあとから「そうなんだ!」といろんなことに気付くところはスルメのようだ。長く楽しめてお得。
しかし、「欠けていたもの」だけがやっぱり納得いかないなぁ。150年前に外国船の保養所として成り立っていた土地が、それを欠かすことができるのかどうか。難しくない? どんな施設があったんだろう、当時の島に。
で、なんでカカシは外に出ることを禁じたのだろう。そのほうがしあわせになるということ?
それと島の規模がどのくらいなもんかな、とか。伊藤の顔が知れ渡っているわけではなさそうだから結構な広さがあるのかなぁ、と。
そして登場人物たちのその後が気になるラスト。そこで一生暮らしちゃう? みんなで「欠けていたもの」を楽しんじゃう? 鎖国は維持しちゃう? いろんな妄想が広がりました。祈りという心、忘れたくない。
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