グラスホッパー 伊坂幸太郎

グラスホッパー 作:伊坂幸太郎 (角川書店)

グラスホッパー ISBN : 4-04-873547-0 発行年月 : 2004.7

3度目の直木賞候補作。第132回です。
自殺屋と殺し屋と気弱な復讐者、3人の視点で送る非合法会社社長の息子殺害事件をめぐる物語。情報が組み合わさっていく手法はいつも通り。時系列の交錯がないぶん読みやすいかと思いますがなにせ裏の業界を扱ってるためいつもよりさらに黒め。好き嫌いは分かれるところかと。

そんな裏社会の中で復讐という目的があるにせよ一般人の鈴木は状況に流されまくりですが、彼が唯一のリアリティでしょう。目つけられまくりなのにしっぽさえつかませていない押し屋や一家皆殺しが得意な殺し屋、現れるだけで相手が勝手に自殺してしまう自殺屋に囲まれてるんだから。
バッタはバッタで群集すれば強くなるしかない。人間は人間で裏に生きるためには運が必要だ。鈴木のソレは読者にはとても面白く集結する。
鈴木が心の支えにしている奥さんもかなりぶっ飛んだ人で、きっと裏でも立派に生きていける人なんじゃ? (いやどうだろう)

バカっぽいのに「リョコウバト」に即座に突っ込める蝉がステキ。しじみはまだ泡を吹いているだろうか。
ジャック・クリスピンって実在するのか? 検索しても伊坂関係しか引っ掛からなかったんですが。引用している振りをしているんだったら結構おもしろいな。

鯨の能力すげえ。『唾と蜜』が読みたくなる。しかもホームレス。彼の登場により世界が一変していく蝉の描写にビビリました。しかし田中にその影響が出なかったのが気になるところ。誰でもそうなっちゃうわけではないのね。

槿が名字か名前かわかんねー、と思ってたらそういうことか。ささやくような言葉づかいは誰が教えたんだろうね。この兄弟がまたいい味出してるんだ。「うん、そんな感じ」の奥が深い。ヘラクレスオオカブトが数年後にこんなにメジャーな存在になるとはさすがの伊坂にも予測できなかったんじゃないだろうか。
彼らは今も「バカジャナイノー」といいつつ、遊んでいるんだろう。

ところで最近群集相でないトノサマバッタを見かけたことがないのですが、アスファルトで覆われてて暮らしている場所が相対的に狭くなってるとかそんな理由? (遊歩道の脇の植え込みから出てきているみたい)昔みたいに野原とか行かないしな。でも全体的に小さめなんだよね。うーん、バッタの世界もいろいろありそう。

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ライトノベルを中心に、ぐだぐだとバカなコメントを書きます。やってるときは燃え多め。

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