ポストガール 増子二郎

ポストガール 作:増子二郎 イラスト:GASHIN (電撃文庫)

ポストガール (電撃文庫)

せつな系の短編連作ですよ。実はダーク・バイオレッツ1巻と同じ月に出てるのよねコレ。

戦争のあと人口が激減した世界で、手紙を運ぶ仕事をしているロボット、メルクリウス(人形自律機械)のシルキーは自意識システムと行動プログラムの出す答えが食い違うことがある、バグを持ったロボット。言い換えればとても人間らしい女の子。けれどアストロラーブ・メイルサーヴィス社の備品扱いのシルキーは、自分の感情のままに行動することを許されていない。それゆえ、欠陥品であるという自覚がある。人間に近づいている、のは目標に近づいているはずなのに、欠陥品。
そしてシルキーは胸が小さいのを気にしてたりメルクリウスの原型が抱き人形だったと強調されていたりして、そこはかとなくエロい。

数年前に読んだんですけど、作者が感動させようとしている努力が見えてしまっているような気がして好きじゃなかったんですが、最近せつないヤツに弱いので再読。うん、いいね。心が広くなったもんだ。

今回シルキーが出会うのは、届け先で1年以上お茶を飲んでいる同業者と、人間として造られ自分が人間だと思い込んでいるお姉さんと、元人間だった虫と、嘘をつくことで幸せを手に入れた女の子。

女の子がいろんなところをバイクで旅していろんな人に出会って、っつーのはキノと被っているかもしれないが、あらゆるところで正反対だと思うのです。淡々としていて心情描写が細やかで。シルキーの心はかかわった人を積極的に助けようとするし、好きな人がいるし、いろいろな人に助けられているし。

静かで、ありがちで、朴訥としていて、悲しくて、幸せで、美しい。
よく似ているといわれているヨコハマ買い出し紀行を読んでみたい。

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ライトノベルを中心に、ぐだぐだとバカなコメントを書きます。やってるときは燃え多め。

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