聖遺の天使 la reliquia di angelo 三雲岳斗

聖遺の天使 作:三雲岳斗 (双葉社)

聖遺の天使 (双葉文庫) ISBN : 4-575-23481-8 発行年月 : 2003.10

レオナルド・ダ・ヴィンチが探偵役の、歴史ミステリー。イラストはついていないけど、ダ・ヴィンチ本人の絵画で補完しろってことですね。「白貂を抱く貴婦人」その人が出てきます。 チェチェリア・ガッレラーニが天才のリラ(楽器)の弟子にして事件に居合わせた当事者。そして時の権力者ルドヴィコ・スフォルツァがワトソン君。やっぱりというかなんというか、チェチェリアが書きたかったらしいですよ。ちょっと調べるとどんどん背景がわかっていくのがいいよね歴史って。
沼の館でその主、高名な建築家が磔のようなかたちで死んでいた。彼は聖人マルコの聖遺物を所有し、死体発見の直前には天使が見かけられた。折りしも聖遺物の真贋を鑑定するため聖職者が集まっていたときのこと。聖遺物は本物なのか? 天使は何者なのか? といった感じの話運び。

そして雰囲気も中世が色濃く出ている。
光の話をはじめにレオナルドが始めたときは「……印象派?」とか思ったようなわたしはバカですが、キリスト教と微妙に距離を置いた登場人物たちが興味深い。でも彼らを通してでも当時のキリスト教文化の荘厳さは想像できる。そしてそれを突き崩していくダ・ヴィンチの鮮やかさ。
ルネッサンス期だもんね。面白い時代です。ミラノとベネツィアが小競り合いしてたとか知らないしさ。
そしてダ・ヴィンチの奇人ぶりと、チェチェリアの才女ぶりがいい感じだ。それにおいていかれるルドウィゴもお約束。

犯人は目星つくようになってきたよ。ミステリ経験値着いてきたかな。でも仕掛けはなるほどと唸るしか。ダ・ヴィンチに詳しい人ならピンと来るのかな。

むしろ元々「旧宮殿にて」が読みたくてM.G.Hから遡って読んでたので、 今のダ・ヴィンチブームには全然乗ってません。ん? この主張なんかおかしいな。ダ・ヴィンチが出てくるから興味を持ったのは確かだけど、ダ・ヴィンチ・コードに興味を持ってたわけではないんですよ。トム・ハンクスは好きだけど。ジャン・レノも大好きだけど!
しかし、この「聖遺の天使」もキリスト教徒の方が読んだら気分を損ねるかもしれないなぁと少し思いつつ。でもこれを楽しめたということはその人たちよりも楽しいひとときを過ごせたということかな。

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ライトノベルを中心に、ぐだぐだとバカなコメントを書きます。やってるときは燃え多め。

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