キノの旅-the Beautiful World- 時雨沢恵一
キノの旅―The beautiful world 作:時雨沢恵一 イラスト:黒星紅白 (電撃文庫)
ISBN : 4-8402-1585-5 発行年月 : 2000.7
世界は美しくなんかない。そしてそれ故に、美しい
-The world is not beautiful. Therefore, it is.-
プロローグ 「森の中で・b」 -Lost in the Forest・b-
キノの始まりです。キノの心情が吐露されている数少ない話です。
このスタンスがわりと好きです。
第一話 「人の痛みが分かる国」-I See You.-
キノが旅する国の話がはじめて聞ける話。
「『他人の痛みが分かればその人に優しくできる。もっと人はお互いを尊敬し合える』なんてとんでもない大嘘だった」
そうなんだー。「サトラレ」もそうだけど、やっぱり人と離れて無人島で暮らすサトラレもいたわけで。
副題も相まって、ちょっと考えた話でした。
第二話 「多数決の国」-Ourselfish-
民主主義への皮肉。ここまでブラックにすることもなかろうに。
少数意見も取り入れましょうね、王様。(それが出来てないところに今現在問題があるんだけど)
第三話 「レールの上の三人の男」-On the Rails-
人生ってこんなものなのかもね。まったくもって知らぬが仏。
最初のじいさんが一番大変だよなぁ。
給料、出てないよなぁ。
なんかこんな展開の童話があった気がするんですが。誰かご存知でしたら教えてくださいm(__)m
第四話 「コロシアム」-Avengers-
この復讐者は複数形になっているから、シズと馬車の奥さんなんだろうなぁ。
ここで、キノは怒る。珍しく。違う人なんじゃないかと思うくらい激しく。
そして、自分に攻撃をしてきていない相手を殺す。今のところただ1人だ。
でも、殺さずに相手に勝つ方法も実行している。ここと「城壁のない国」ぐらいしか見られない。これを成長した後と見るか、未熟な時期と見るか。
時系列を考え出すときりがありません。
第五話 「大人の国」-Natural Rights-
少女キノの誕生。
エルメスは命の恩人。
手術で「ちゃんとした大人」にする。かなり乱暴な国。
本当に大人になれてるのかなぁ。なれるものならなりたいな(笑)
第六話 「平和な国」-Mother’s Love-
口絵や扉絵で怖さ倍増です。おかあちゃん怖いー!!されど母は……って強すぎです。
近代的な戦争。犠牲を出さない戦争なんてないのに、犠牲者を国民の外に求めて子供を守ったと思ってるお母さんたち。そんなバカな。 スポーツ競技に対する痛烈な皮肉。
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