カテゴリー ‘ その他(軽)小説

xxxHOLiC アナザーホリック ランドルト環エアロゾル 西尾維新

×××HOLiC アナザーホリック ランドルト環エアロゾル 作:西尾維新 イラスト:CLAMP (講談社)

アナザーホリックランドルト環エアロゾル ISBN : 4-06-213509-4 発行年月 : 2006.8

予習に原作読んだときは「えっ、これってCLAMPキャラならどれでも出せるワイルドカードじゃん!」と思いましたがそんな変化球出さないでもネタはたくさんありますよねー。それで副題の通り「目」がフィーチャリングされております。デスノともそこでクロスオーバーな雰囲気。ちなみにエアロゾルはこんな意味らすぃ。エアロゾルとは 四月一日を語る上では外せないものですし正面から行ったのはすごいと思います。あんまり違和感もないと思うしね! 帯の通り「必然」という主軸もちゃんとでてくるし。百目鬼やひまわりちゃんが会話にしか出てこないのでそこがちょっと物足りないかもしれませんが。その分百目鬼なしで解決するのは新鮮な感じ? そのかわりオタなネタが満載だよっ! まぁ原作でも侑子さんけっこうオタだったわね。つか四月一日の一人ツッコミっぷりが維新キャラにしか見えないのは化物語読んだあとだからですか?

一話「アンダーホリック」は『対価』をフューチャーです。納得できすぎるよ……「やれるものならやって御覧なさい」なんて原作テイストたっぷりです。不敵です。原作には倒叙っぽいのはなかったよな?

二話「アウターホリック」「死者から届くメール」を解決するです。『自分』をフューチャーです。原作と維新のミクスチャーのようです。罰を与えるのは誰か? 最後の侑子さんの切り返しGJ。

三話「アフターホリック」『アフター』の名の通り「最終回じゃん!」みたいなっ! アヤカシ出てこないわ伏字だらけだわ異能者出てくるわ「セカイ」だわ全然読みやすくないわ維新節全開です。いやー、xxxHOLiCファンの人が「面白かった!」言ってくれたのが奇跡のようです。(きっと維新を包容できる人だったんだよ)論文調の文章ってのはなつかしかね。そのうえ□や■の羅列が荘厳ですらあります。ルビがかえって読みにくいような気がしますよ。(なかったら意味が通じません)
CLAMPも維新もある程度読んでたので大好きです。でも高いよなー。デスノの方は続きそうですが、こっちはどうなんでしょうかね。期待したいです。

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クドリャフカの順番 米澤穂信

クドリャフカの順番―「十文字」事件 作:米澤穂信 (角川書店)

クドリャフカの順番 ISBN : 4-04-873618-3 発行年月 : 2005.6

いよいよ文化祭本番。そんなときでも古典部には問題が。30部作ったはずの文集が200部できてしまった。一方で文化祭の最中にも、いろんな団体からモノが盗まれ、メッセージカードを残していくという連続事件が発生。省エネ奉太郎は店番をしながら、データベース里志はいろんなイベントに出て古典部をアピール、えるはコネをフルに使い、摩耶花は慢研と掛け持ちコスプレをしながら、問題に立ち向かう。謎は解けるのか? 「十文字」を名乗る犯人は?

わくわくするね、文化祭。しおりのネタだけでも楽しめる。物理部とか大好き。天文部もワイルドファイアのパフォーマンス込みでよいですね。

里志の頑張りがいい。そしてその挫折もいい。答え、いつかは出せるんじゃないか? うわ、それができたときには古典部終わるような気がする……。

にしてもさ、ネタもうちょっと解説してくれてもいいんじゃない? コスプレネタなぞキーワードだけじゃわかりません! 魔美ぐらいしか! つかゲームはさっぱりだ! 調べてみたら講演会に出てきた名前ざくざくですね。そうかそうか。

で、読み終わったあとに「クドリャフカ」をググって凹む。
ふふふ、明るく塗装してあったけど実は中身真っ黒でしたみたいな?
それもせつない話だったんだろうなぁ。うん。そのセンスがいい。

ま、野生時代で古典部シリーズの連載も始まったようですし、続きも期待してますよ。911がどんな存在になるか、どうしても気になっちゃいますが。どんな味付けになるだろう。

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秘密。 私と私のあいだの十二話 ダヴィンチ編集部/編

秘密。―私と私のあいだの十二話

秘密。 ISBN : 4-8401-1234-7 発行年月 : 2005.3

豪華作家陣のショートショート。AサイドとBサイドに分かれていて視点を変えれば一つの出来事が二つの物語になるよ、ってのを12作連続で。なじんだところで言ってみれば、キノのプロローグエピローグの変形みたいなものでしょうか。それぞれに写真が掲載されていておしゃれな感じ。
言うまでもなく伊坂目当てに読んでるわけですが、ちょっとページめくってみてその短さにビックリした。錚々たるメンバーが揃っているだけあって技巧的には面白いものばかりでした。小道具としては電話多目。相手が見えないっていうのは確かに仕掛けを作りやすいのかもしれない。と思ったら「日本テレコムSHORT THEATER」だったのか。ん? じゃ唯川恵はどこに電話が? 「メールしてね」しか見つからないんですけど! これがクリスマス特別企画書き下ろし短編なのかしら。
姉に「目当てのものはこんなに短かった」ってページを見せたら、3時間後くらいに「さっきの本読ませて」といってきて、3分後に返ってきた。うわこいつ、ほんとに目当ての吉田修一しか読んでねぇ!

ご不在票 吉田修一
いや、しょっぱなからノックアウトですよ。涙ぐんじゃった。そうやって世界は続いていくんだ。
まぁこの作品だけ読んでも1/12は楽しめてるよね。醍醐味を知るには充分。ここで次のページをめくらずに返せる姉の心理がわからない。

彼女の彼の特別な日 彼の彼女の特別な日 森絵都
いいなぁ、この時間の切り取り方。
軽そうに見えた男はなけなしの勇気を振り絞ってました。

ニラタマ 佐藤正午
彼女の拗ねた感じがよいですね。
しかしなぜ自分でアラームを設定しない。音的にはモーニングコールでも同じだよな? スヌーズ設定とかじゃ起きられないのか。まあ起きない人ってそんなもんだよね。休みの日に5:30から10分おきのスヌーズとか止めてください姉上。アンタ以外家族全員目覚めてんだよ! ちなみにうちのFAX電話にはモーニングコール機能ついてるよ。(起こしてくれる人は機械のカラダ)

震度四の秘密 有栖川有栖
皮肉の裏のやさしさがいいですね。思わぬところでばれるもの。
それでいいのかどうかは、彼と彼女が決めること。

電話アーティストの甥 電話アーティストの恋人 小川洋子
電話アーティスト、っていう発想がすごいよ。コードが消耗品だなんて。しかもそれで食べていけているなんて!
彼女と彼の作った関係は、今後も続いていきそう。

別荘地の犬 篠田節子
うえーん、みんなしあわせになりなよー! 

<ユキ> <ヒロコ> 唯川恵
いい夢見たあと起きたときのむなしさは夢見ていたときの幸福感を打ち消してあまりあるものだと思うんですけど。
次の日も同じものを見ることができると確信できていたらそうではないのだろうか。

黒電話 堀江敏幸
これは電話っていう仕掛けというかツールとしての存在をメインにおいてる感じですね。なんでAが三人称でBが一人称なのか気になります。
うちも長いこと黒電話だったなぁ。ダイヤル捌きの速さに驚かれたことがある。ノスタルジー。

百合子姫 怪奇毒吐き女 北村薫
これこそ裏と表! いやーこんなもんだよね、どこかでバランスとってないと。そこがえくぼになったり……するよね?

ライフ システムエンジニア編 ミッドフィルダー編 伊坂幸太郎
こんな4ページの短編にもリンクを仕込むなんて! さすがです。ってかもうないことなんてないことを前提に読まなきゃいけないような気がしてきた。

お江戸に咲いた灼熱の花 彼は演技派 三浦しをん
コミカルで痛快。そんなところに電話があるなんて。役者さんてほんと、夏も冬も辛そうだよなぁ。

監視者 私/僕 阿部和重
SF! です。人間です。私、の今後を想像せずにはいられない。

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図書館内乱 有川浩

図書館内乱 作:有川浩 イラスト:徒花スクモ 

図書館内乱 ISBN : 4-8402-3562-7 発行年月 : 2006.9
図書館内乱  図書館戦争シリーズ(2) (角川文庫) ISBN : 978-4043898060 発行年月 : 2011.04

「図書館戦争」は、メディアを扱った点が注目されたのか、いろんなところで紹介を見かけたし本の雑誌の2006年エンターテイメント第一位を取ってからはうちの店でも平積みでしたよ! 男性作家のコーナーで! 移動させましたけどね……私も2週間ぐらい気付かなかった。(「塩の街」からの既読者しっかりしろ)(いや、入っただけで感動しちゃったんだよ)
『メディアを規制されたという設定はリアルかもしれないけどなんで武力行使になるのかわからない』というような感想もネットで見ましたけどデビュー作からの3作が陸海空三部作とか言われてる作者に向かって何を言ってるんですか、というしかありません。LOVEと隊のない有川作品なんて……! (「レインツリーの国」はそういう意味でもすごい読みたいです)
「配達あかずきん」とか「暴れん坊本屋さん」とかと一緒に「書店員の世界を書いた本が注目を浴びています」とかいう記事に紹介されてたときは「いやいや書店員は出てこんよ」と突っ込んでましたが。思い出とか見計らい権限でしか出てこないよな……しゃべったかどうかも思い出せない。

「『戦争』の続編が『内乱』って規模縮小してねえ?」なんて思ってましたがいやあ、やっぱり面白かった。メディアの問題は今回も容赦なく突っ込まれておりますし。コラボった作内小説はどう説明されてるのかと思ったら思いっきりこき下ろされてるし。
そして本編は親をやり過ごしつつ他の隊員にとっても家族はやっぱり大きな存在で。小牧のLOVEは読んでるこっちが恥ずかしくなったわ! なんだろな、自分でも恥ずかしいスイッチがどこではいるのかよくわかんない。いや、ちゃぶ台ひっくり返したくなりつつニヤニヤしつつ楽しんで読むんですけどね。敵に狙い撃ちにされてる二人にも超期待です。
そして図書特殊部隊のツッコミ漫才は今回も健在で。いやあ、査問で上官にツッコむとは思わなんだわ。「図書館戦争」の朗読ってどうなってんのか本気で気になります。
小牧の正論の理由も柴崎の情報屋の由来もキャラを堪能しました! 笠原もパワー全開です。堂上は今回もいつもどおりにかっこいいです。いやでもその程度の情報は書誌学なんて使わなくても絞り込めるんじゃ……いや、それができない人のための方法論が学問か。

イラストは……うわ、鞠の意味だけわからない。出てきたっけ?

梅田の紀伊国屋に行ったら有川さん自筆ポップがありましたよ! 店員さんに許可とって写真とって来ました。

「鬼引き」って方々で聞いてたから覚悟して読んだらそんなにダメージも食らわなかったよ! そんな心配しなくても大丈夫だよ! と胸を張って言えるからかもしれないが。
というわけで「図書館危機」は2月発売ですよ! うわあ、もうちょっとお値段安くなりませんかメディアワークスさん。

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銃とチョコレート 乙一

銃とチョコレート 作:乙一 イラスト:平田修一 (講談社ミステリーランド)

銃とチョコレート ISBN:4-06-270580-X 発行年月 : 2006.5

乙一の児童書。といってもミステリーランドですが。
まぁ一応児童書の皮を被っているとはいえ一筋縄であるわけがなかろうて。正義とか、ヒーローとか、いるけどいなくている。乙一の本領発揮といったところでしょうか。表紙の白目の猫怖い。でも箱とセットだとなんとなくかわいい雰囲気なんだよねー。中身のイラストはフォローのしようがないぐらい怖い。ビターでおいしいチョコレート。決して「チョコレートと銃」ではないところがミソですね。
気になるのはカギかっこの最後に句読点の丸が含まれることでしょうか。今までなかったよね?

怪盗はゴディバ、名探偵はロイズ。主人公の少年はリンツ。
戦争の終わった町で、移民の子供として暮らすリンツ。父は亡くなり、母は工場とレストランで働き、自分もパン屋の配達をしている。ある日父の形見の聖書から、地図らしきものを見つけた。ゴディバの残すカードには風車小屋の絵が書かれているという情報を新聞記者見習いのマルコリーニから聞いたリンツは、この地図がゴディバが宝を隠した場所のものだと確信し、ロイズに手紙を出す。

冒険始めるまでにひどい目にあうのは児童書的セオリーなんでしょうか。(ブレイブストーリーと二つで判断しないように)いじめっ子のドゥバイヨルが貴族の血筋で美形で頭の切れる曲者で、乱暴者にしておくのが本当にもったいない人物ですねっ。
お母様もおじいさんもいいキャラしてます。リンツに特に特徴がないのは仕方がないことかと。一筋の勇気と、ひとはらの優しさと、好奇心。これをもってると少年主人公としては及第点ですね。
味付けは人種と信仰と。
きっと、銃で得たお金よりチョコレートで得たお金のほうがあたたかいんだ。リンツはそっちを選ぶんだろうね。

あとがきは、いつもの調子で。「くつしたをかくせ!」よりは子どもに見せやすいね! 「おもしろい!」といってくれるかどうかは別として。1ページにこんなに怨念のようなものを含ませられるとはね。謝辞もちゃんとついてるのに。ま、それでこそ乙一、と。

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銀盤カレイドスコープVol.7 リリカル・プログラム:Be in love with your miracle 海原零

銀盤カレイドスコープ (Vol.7) 作:海原零 イラスト:鈴平ひろ (集英社スーパーダッシュ文庫)

銀盤カレイドスコープ Vol.7 ISBN : 4-08-630302-7
 発行年月 : 2006.6

やっと来たバンクーバーシーズンの幕開け! リア打倒を目指すタズサはリアの元コーチ、マイヤの元で活動するためロシアへ。彼女の厳しさは想像以上、練習場までのクロスカントリーを50分以内に完走しなければ氷に乗せてもらえない。あの強気なタズサがホームシックになっちゃったりして。

なのになぜ百合展開なんでしょうか。スポ根だと信じてたのに。リアの存在がますますファンタジーに。城に住んでるのか。リンクはステンドグラスなのか。湖に帆船浮かべて寝泊りできるのか。そうか、そんなに儲かるのか、女帝。

キモはそこじゃないからね。思いを新たにするところだからね。最後の言葉がどれだけガツンとくることか。
リアの行動でも一番驚きなのはそこじゃないし。あとがなくなったタズサにガブリーの恐れや不安、迷い、焦りなどが丹念に書かれているであります。あと、至藤やドミニクのインタビューとか。大会には出ているけど競技描写はなし。次の期待を膨らませる構成になっております。あと3冊はかかるんじゃない? ショートとフリーは当然のように別巻になるような気がするし。それまでもいろいろあるだろうし。いや、今月に2巻同時発売なんだっけ。

ピート君の存在も、ちょっとは思い出してくれるでしょうか。忘れてないはずはないけど、描写してくれないもんね。

いや、噂には聞いてたけどそんなにひどかったのかアニメ。あとがきでぶっちゃけられたら複雑な心境になるなぁ。ヤシガニといい銀盤といい、原作がライトノベルなのは何の因果なんでしょうか。今は財前と瑠璃色があるのかな? (どれも観てないけどねっ!) メディアミックスなんてネタにできればそれでいいのですよ、と思ってはいますがね。コミックスも帯の高島コーチに萎えたっけなー。(これもよんでませんよ)

ともあれノベルは好きなので次巻に期待。

他刊の感想
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死神の精度 ACCRACY OF DEATH 伊坂幸太郎

死神の精度 作:伊坂幸太郎 (文藝春秋)

死神の精度 ISBN : 4-16-323980-4 発行年月 : 2005.6

2005年本屋大賞三位。
ラジオドラマ青春アドベンチャーの放送までに感想を……と思っていたけど間に合いませんでした。エヴリタイムいっぱいいっぱいです! (ダメじゃん)
しかし、このオーディオドラマ、全五回なのは仕方ないとして、なんで切り落とされたのが「旅路を死神」なんだ! 大好きなのに! まあたしかに、一番地味だろうか……。「死神の精度」と「恋愛と死神」と「死神対老女」除くわけにもいかないし。残るは「死神と藤田」と旅路か。両方クライム風味じゃん。(「吹雪に死神」の存在をステキに忘れているね)しかしキャストで多少仕組みがバレちゃうのもあるね。

調査部にお勤めの死神さん。名前は千葉。ちょっと常識がないのでレトリックとかわかんなかったりする。で、ジョークだと思われると機嫌がよろしくない。大変な雨男で青空を見たことがない。お仕事は対象者を7日間観察して結果を報告すること。「可」を出された人は8日目に亡くなります。死神は一般的にミュージックが好きらしい。
短編連作形式で任侠ものあり、館物ミステリー風味あり、ロードノベルあり、恋愛ものあり。なんだか地味なお話なんだけど、希望があるんだ。オチも鮮やかに決まって、他の伊坂作品(陽気なギャング除く)より基本の部分が明るめのものでできている気がする。ふふ、でも最初の話がああだったからそう思えるだけかもしれない。だまされてるなぁ。

あ、宮城県に入った。なんかくるぞーと思ったらやっぱりキタ。そうか、死について語っちゃったりするかその人と。

そうなると、911とか調査部だらけでえらい人口密度上がったんじゃないかと思うんですが。基本的に「可」だしな、あいつら。密度が上がったのは8日前だけかも知れない。そしてバラバラに好きな時に来てただけかもしれない。
で、あの車はなんの車種なんでしょうね。あの写真と記述でわかる人はわかるのかな。くやしー。

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愚者のエンドロール WHY DIDN’T SHE ASK EVA? 米澤穂信

愚者のエンドロール 作:米澤穂信 イラスト:高野音彦 (角川スニーカー文庫・角川文庫)

愚者のエンドロール ISBN : 4-04-427102-X 発行年月 : 2002.8

古典部シリーズ第2弾。
クラス製作で作ったミステリドラマが脚本家が倒れたために続きが作れないので、今まで撮ったVTRを元にその続きを考えるためのオブザーバーになってほしい。千反田のコネで古典部にその推理の依頼が回ってきた。

奉太郎の打ちのめされっぷりが今回も見事です。ミステリ好きにはニヤリとできるネタ満載、なんだろうなぁ。赤毛クラブ(そういう訳だったんです)と消えた花婿(そういう訳だったと思う)と5つのオレンジの種(そういう以下略)ぐらいしか読んだ覚えないし。黄色い背表紙って創元推理文庫でいいんですか? え、でも手元にある毒入りチョコレート事件も黄色かったぽいよ? (焼けまくっててよくわからない)

ネタを説明せずにさらっと流すから、そのネタをネットで探して理解する読み方をしているんですがこれがなかなか面白い。自分で調べたほうがいろんな周辺知識がつくしね。「ブラウザが使えるんです」にはIEかNNかOperaか?! とつっこみたいけど。Fxはまだないよね?
で、題名はどういう意味? タロットのことも調べなおさなきゃか。中で説明された「好奇心のエンドロール」でも合ってるような合ってないような。うん、こんどじっくりやってみよう。タロットはこれまで読んだマンガの中でも相当ネタにされてたしな。(もっと早く調べろ自分)

で、読み直すとさらに面白いなぁ。最初のチャットのシーンから。最後のひっくり返る手なんかが鮮やか。

高野さんの福部がかわいいよう。氷菓に引き続き扉絵でしか拝めない伊原がさみしいけど。これまた角川スニーカーミステリ倶楽部もすごい方向転換をしたもんだなぁと思う。

で、作者本人さんは死者の出る話が嫌いなわけではないらしいので、その結果が紺屋シリーズなんですな。いやでもこの青春っぷりも大好きですよ。ハードボイルドも好きですけどね。

他巻の感想
氷菓

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グラスホッパー 伊坂幸太郎

グラスホッパー 作:伊坂幸太郎 (角川書店)

グラスホッパー ISBN : 4-04-873547-0 発行年月 : 2004.7

3度目の直木賞候補作。第132回です。
自殺屋と殺し屋と気弱な復讐者、3人の視点で送る非合法会社社長の息子殺害事件をめぐる物語。情報が組み合わさっていく手法はいつも通り。時系列の交錯がないぶん読みやすいかと思いますがなにせ裏の業界を扱ってるためいつもよりさらに黒め。好き嫌いは分かれるところかと。

そんな裏社会の中で復讐という目的があるにせよ一般人の鈴木は状況に流されまくりですが、彼が唯一のリアリティでしょう。目つけられまくりなのにしっぽさえつかませていない押し屋や一家皆殺しが得意な殺し屋、現れるだけで相手が勝手に自殺してしまう自殺屋に囲まれてるんだから。
バッタはバッタで群集すれば強くなるしかない。人間は人間で裏に生きるためには運が必要だ。鈴木のソレは読者にはとても面白く集結する。
鈴木が心の支えにしている奥さんもかなりぶっ飛んだ人で、きっと裏でも立派に生きていける人なんじゃ? (いやどうだろう)

バカっぽいのに「リョコウバト」に即座に突っ込める蝉がステキ。しじみはまだ泡を吹いているだろうか。
ジャック・クリスピンって実在するのか? 検索しても伊坂関係しか引っ掛からなかったんですが。引用している振りをしているんだったら結構おもしろいな。

鯨の能力すげえ。『唾と蜜』が読みたくなる。しかもホームレス。彼の登場により世界が一変していく蝉の描写にビビリました。しかし田中にその影響が出なかったのが気になるところ。誰でもそうなっちゃうわけではないのね。

槿が名字か名前かわかんねー、と思ってたらそういうことか。ささやくような言葉づかいは誰が教えたんだろうね。この兄弟がまたいい味出してるんだ。「うん、そんな感じ」の奥が深い。ヘラクレスオオカブトが数年後にこんなにメジャーな存在になるとはさすがの伊坂にも予測できなかったんじゃないだろうか。
彼らは今も「バカジャナイノー」といいつつ、遊んでいるんだろう。

ところで最近群集相でないトノサマバッタを見かけたことがないのですが、アスファルトで覆われてて暮らしている場所が相対的に狭くなってるとかそんな理由? (遊歩道の脇の植え込みから出てきているみたい)昔みたいに野原とか行かないしな。でも全体的に小さめなんだよね。うーん、バッタの世界もいろいろありそう。

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お楽しみはこれからだ! Jazzy Murder

お楽しみはこれからだ!―Jazzy Murder 作:真瀬もと (ハヤカワミステリーワールド)

お楽しみはこれからだ! ISBN : 4-15-208746-3 発行年月 : 2006.7

時は1927年。ハリウッド女優メグ・ライリーに請われイギリスの犬舎からイングリッシュ・コッカー・スパニエルを引き渡しに来たメイドのケイト。彼女の叔父の元警部、写真家のエドワード・シドニーがアメリカに渡り写真家として成功していたのだ。しかし、「ジャズ・シンガー」ワールドプレミアの夜にニューヨークの彼の部屋で女優ミランダ・デフォーが謎の死を遂げた。事故として処理されたが、ハリウッドに移動したケイトが今度はメグ・ライリーの死に立ち会ってしまう。彼女たちは殺されたのか? 事故なのか? 推理に消極的な元警部も協力してくれる中、彼女は謎を探り始めた。

禁酒法! ニューヨーク! ハリウッド!
えと、裏のあらすじでメインとされている第二の殺人が起こるまでが長かった……実際半分以上してからじゃないと起こらないし。
なんかな、Jazzyな雰囲気は感じなかった。垢抜けてないというか。件の紹介文のシメは「犬とメイドの本格推理!」となってますが犬はイタズラ好きの子犬だし、メイドは海外にお使いに出てきているためにご主人様がいない状態。それってメイド萌えの観点からは期待できないでしょう。
とりあえずキメ台詞は何度も使うなといいたい。何回言ったのよこのタイトルを。特に一番最初にケイトが引用したときには思わず「そりゃないよ」とツッコミました。

でもでも、ハリウッドや当時の映画界の雰囲気を味わうにはいいですね。どこまでが実在の人物でどこまでが創作された人物なのかわからない程度の知識しかありませんが。俳優の名前はやたら出てきたので知ってる名前もありましたよ。
それと映画界のに潜む狂気とか。「ジャズ・エイジ」よりも「アスピリン・エイジ」に重きを置きたかったのかな。
もう一つ、ケイトにはエドをイギリスに連れ戻して彼の娘と一緒に暮らせるよう説得する目的もあったりするのですが、けっこうあっさりとエドにばれてしまい、ありゃりゃと思うものの最後にはいいところに落ち着いて、この人間模様にさみしいけれど安心しました。悲しいエピソードだよ、娘を手放してしまうほどに。

いやしかし、この本で一番驚いたのはこの作者が、モリアーティー教授が探偵役の小説でウィングス大賞をとっていた、という事実でしょうか。そんなんあったんや。

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ライトノベルを中心に、ぐだぐだとバカなコメントを書きます。やってるときは燃え多め。

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