大唐風雲記 洛陽の少女 田村登正
大唐風雲記―洛陽の少女 作:田村登正 イラスト:洞祇ミノル
第8回電撃ゲーム小説大賞、大賞受賞作でございます。
作者様は著者近影をご覧いただくとわかりますとおり、結構なお年を召したおじさまなのでございます。しかし本人があとがきで話されていますとおり、「キワモノ」とまでは行かないものの、異色であるとわたくしめも思っております。
……本文にあわせてですます調で書き上げるつもりでしたが私にはムリです!
ああ情けなや。で、話の続き。
電撃以外の小説賞では出ないんじゃないか、と思う。
馬と弓の戦争、味付けは方術や空飛ぶ絨毯、タイムトリップ。
ヒロイン(?)は、少女の骸に取り憑いた偉そうなおばさん、則天武后。楊貴妃は色が黒くてボリューム満点で力の強い、素ではずーずー弁を操るおばさん。李白は犬の霊憑依させれられてその鼻で人探し。
そしてちょっとHな話は生々しい。キャー。
蜀訛りは、南方の言葉なんだから東北弁ではなくウチナーグチにしてほしかったなー。……東北弁ほどメジャーじゃないから小説には不向きかな?
「テーブル」とか「ボリューム満点」とか英語が出てくるのにも少々違和感がございました。
師匠の秘密とかー、空飛ぶ絨毯(仮)の正体とかー、気になるけど二巻目でもわからないらしい。普通に気になる。
あー、アンの正体は見誤りました。やっぱり、全ての作家の張ったトラップ全部に引っ掛かってるんじゃないのか私。
あとがきの「唐書読んでおこうと思ったら序文以外点も丸もない、代わりに返り点のついた漢字の羅列」だったという話。史学を学んだものから言わせてもらうと「返り点打ってあったら万万歳じゃないか」、です。
白文(ひたすら漢字)ってほんとに訳わかんないよー。どれが動詞かわかんないと文読めないのに、あらゆる漢字には動詞の意味があるからもー。例えば「北」なんてものにも「そむく」という意味があります。お手持ちの漢和辞典にも実は載ってる事実なのですが。泣きます。
シルクロード好きの私としては、クチャとか天山山脈とか西域の地名だけでもテンション上げられます。いえー! ……これ読んで中国の歴史に興味持っていただけると嬉しいです。歴史はよいですよ。
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