煙か土か食い物 Smoke, Soil or Sacrifices 舞城王太郎
煙か土か食い物 作:舞城王太郎 (講談社ノベルス・講談社文庫)
ISBN : 4-06-182172-5 発行年月 : 2001.3
疾走、疾走、疾走。
アメリカで活躍する救急外科医が母親が襲われたと聞いて故郷福井に乗り込む。人脈や頭脳を駆使して連続主婦殴打生き埋め事件を追う!
グロいのもこわれてるのもオールオッケーなので楽しく(?)読めましたが、読む人選ぶだろうなぁ、と。全然親切じゃないし。最初にめくった時の文字がびっしり詰まったページはちょっとしたショックだよ。翻訳文体を暴力的にしたようなリズムで、ついていけないものは振り落とす勢い。手術のオノマトペすら「チャッ、チャッ、チャッ」だからね! 暗号とか、アナグラムとかミステリの小道具で遊びながら物語は疾走していくのです。
しかし、英語をカタカナで表記されたら意味を探しようがないんですが。くそう、すべてを理解するには知性が足りない……! ダンテとか出てくるし。「ベストセラー作家」という言葉さえ蔑称ですから。小ネタはたくさん仕込まれてます。ハンソンとかちょっとセピアになりかけてますが。あの曲で踊り狂った高校時代。ダンスマニアでは点取れなかったけどな! (目押しとか超苦手だー) 文体に覆われた愛が顔を出したとき、やられた、と思ったよ。巧妙な照れ隠しか!
でもどうしても気になるのがエクスクラメーションマークのあとに空白一文字を開けないことだ。舞城が空けてるところは見たことないけどな! ん? もしかしてこれも翻訳風演出? 英文法にはこの禁則ないよな。
装丁は圧倒的にノベルスのほうがかっこいいし手間がかかってます。うむ、中身の文体にあわせて洋書のペーパーバック風になってる。
ふふふ、当然のように奈津川家サーガを読破したくなりました。メフィスト賞って中毒性あるなぁ。
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