秘密。 私と私のあいだの十二話 ダヴィンチ編集部/編

秘密。―私と私のあいだの十二話

秘密。 ISBN : 4-8401-1234-7 発行年月 : 2005.3

豪華作家陣のショートショート。AサイドとBサイドに分かれていて視点を変えれば一つの出来事が二つの物語になるよ、ってのを12作連続で。なじんだところで言ってみれば、キノのプロローグエピローグの変形みたいなものでしょうか。それぞれに写真が掲載されていておしゃれな感じ。
言うまでもなく伊坂目当てに読んでるわけですが、ちょっとページめくってみてその短さにビックリした。錚々たるメンバーが揃っているだけあって技巧的には面白いものばかりでした。小道具としては電話多目。相手が見えないっていうのは確かに仕掛けを作りやすいのかもしれない。と思ったら「日本テレコムSHORT THEATER」だったのか。ん? じゃ唯川恵はどこに電話が? 「メールしてね」しか見つからないんですけど! これがクリスマス特別企画書き下ろし短編なのかしら。
姉に「目当てのものはこんなに短かった」ってページを見せたら、3時間後くらいに「さっきの本読ませて」といってきて、3分後に返ってきた。うわこいつ、ほんとに目当ての吉田修一しか読んでねぇ!

ご不在票 吉田修一
いや、しょっぱなからノックアウトですよ。涙ぐんじゃった。そうやって世界は続いていくんだ。
まぁこの作品だけ読んでも1/12は楽しめてるよね。醍醐味を知るには充分。ここで次のページをめくらずに返せる姉の心理がわからない。

彼女の彼の特別な日 彼の彼女の特別な日 森絵都
いいなぁ、この時間の切り取り方。
軽そうに見えた男はなけなしの勇気を振り絞ってました。

ニラタマ 佐藤正午
彼女の拗ねた感じがよいですね。
しかしなぜ自分でアラームを設定しない。音的にはモーニングコールでも同じだよな? スヌーズ設定とかじゃ起きられないのか。まあ起きない人ってそんなもんだよね。休みの日に5:30から10分おきのスヌーズとか止めてください姉上。アンタ以外家族全員目覚めてんだよ! ちなみにうちのFAX電話にはモーニングコール機能ついてるよ。(起こしてくれる人は機械のカラダ)

震度四の秘密 有栖川有栖
皮肉の裏のやさしさがいいですね。思わぬところでばれるもの。
それでいいのかどうかは、彼と彼女が決めること。

電話アーティストの甥 電話アーティストの恋人 小川洋子
電話アーティスト、っていう発想がすごいよ。コードが消耗品だなんて。しかもそれで食べていけているなんて!
彼女と彼の作った関係は、今後も続いていきそう。

別荘地の犬 篠田節子
うえーん、みんなしあわせになりなよー! 

<ユキ> <ヒロコ> 唯川恵
いい夢見たあと起きたときのむなしさは夢見ていたときの幸福感を打ち消してあまりあるものだと思うんですけど。
次の日も同じものを見ることができると確信できていたらそうではないのだろうか。

黒電話 堀江敏幸
これは電話っていう仕掛けというかツールとしての存在をメインにおいてる感じですね。なんでAが三人称でBが一人称なのか気になります。
うちも長いこと黒電話だったなぁ。ダイヤル捌きの速さに驚かれたことがある。ノスタルジー。

百合子姫 怪奇毒吐き女 北村薫
これこそ裏と表! いやーこんなもんだよね、どこかでバランスとってないと。そこがえくぼになったり……するよね?

ライフ システムエンジニア編 ミッドフィルダー編 伊坂幸太郎
こんな4ページの短編にもリンクを仕込むなんて! さすがです。ってかもうないことなんてないことを前提に読まなきゃいけないような気がしてきた。

お江戸に咲いた灼熱の花 彼は演技派 三浦しをん
コミカルで痛快。そんなところに電話があるなんて。役者さんてほんと、夏も冬も辛そうだよなぁ。

監視者 私/僕 阿部和重
SF! です。人間です。私、の今後を想像せずにはいられない。

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ライトノベルを中心に、ぐだぐだとバカなコメントを書きます。やってるときは燃え多め。

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