赤朽葉家の伝説 桜庭一樹

赤朽葉家の伝説 作:桜庭一樹 (東京創元社)

赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫) (2006/12/28)
ISBN-10: 4488023932 ISBN-13: 978-4488023935

第60回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)受賞。第27回吉川英治文学新人賞、第137回直木三十五賞ノミネート。
流石に今までの作品よりは一般の方にも読みやすいんではないでしょうか。山の民出身の「千里眼奥様」はファンタジーだけど、それくらいはよくある感じ? そんなこといったら赤朽葉家自体がファンタジー? どこらへんから一般に受け入れられにくい設定なのか、自分ではよくわかっていませんが。
私は第3章の「殺人者」にあー、と思ったんですけど、それがなければ推理作家協会賞なんて取れないわけですし。でも3章だけなんですよね。「瞳子」=「殺人者」ではありませんでしたし。瞳子は探偵役でした。面白い謎解きだった。

とはいえ「地方シリーズ」の一端には確実に入る。でも今回は戦後から始まる、という点で閉塞性が出てくるのは現代もしくは未来時系列のみ、でしょうか。2章なんて中国地方制覇してしまってるし。三代に渡って語られる赤朽葉家の威光。

1章と2章には一つずつ時事ネタが組み入れられていて、それが時代背景なんかをよりイメージしやすくしてくれています。3章にはどうすんだろ、と思ったけど、3章なんて意図的にイメージしなくてもイメージできるわけで。圧倒的な若者性。目標、生きがい。私はどう考えても孤独叔父の世代に入るはずなんですが、瞳子に共感できまくりです。あれ? でも孤独叔父だって赤朽葉家に生まれてなければニートかフリーターだよ! (さすがニート世代)

とはいえ、この物語の主人公は万葉さんで。千里眼がもたらす光と影。そして昭和のノスタルジー。鉄鋼にまつわる描写が薄い感じも否めないので、華麗なる一族と比較されたらちょっとヤバいかしら。12月に出版されているってのもなんか運命的。

でもいい桜庭一樹だった。これなら誰に読ませても恥ずかしくない。(何様だお前) うれしい。ありがとう、桜庭一樹。

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ライトノベルを中心に、ぐだぐだとバカなコメントを書きます。やってるときは燃え多め。

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