陰陽ノ京  渡瀬草一郎

陰陽ノ京 作:渡瀬草一郎 イラスト:田島昭宇 (電撃文庫)

陰陽ノ京 ISBN : 4-8402-1740-8 発行年月 : 2001.2

他の人の日記に出てきたので読んでみました。(どれだけ積んであんねん)
ちなみにこの作者のホームページには日参してるけど作品はこれが初読。
今流行の陰陽師もの、っちゃそうなんだけど主人公は晴明の師匠の次男坊で文学の世界で活躍した慶滋保胤。晴明を師匠としているらしい。晴明もちゃんと出てきます。中年太りのおっさんではありますが。
なにがすごいかって、就職浪人が決定してその恨みを晴らすように書いたのがこれで、電撃の金賞を獲ってること? 投稿歴は長いそうですが。ともすれば夢枕獏に比べられがちなこの土俵で取った相撲に勝ったことか。うらやましい。
ちなみに彼は電撃作家ではありますが、構文が破綻したり誤字が多かったりすることはありません。「安心して読めるけど地味」との評判もありますが……。母にも安心して薦められます。実際面白かったとの感想を頂いております。絵も二巻からは洒乃渉さんになりますがアニメ絵じゃないですし。

力を持ってしまったばっかりに闇の世界に手を伸ばさなければならないこと、その行動が人の為に、どの人の為になっているのか。すべてを救うことはできない、どの人を救うか、そんな悩みが切ない。鬼になった人を元に戻すことができなくて封じる時、彼は鬼に謝ります。殺さなければならないとき、彼は泣きます。彼は優しいだけではなく、優しくなるために必要な強さも持っています。
言ったら怒られるかもしれないけど、「幻影夢想」(高屋奈月 花とゆめコミックス)の切なさに似ている。

人は鬼になるけれど、みんなが悪いわけじゃない。
誰から見ても善人なんかいるわけじゃない。
でも助けることができる人を助けたい。

そんな悲しさがあるのです。

他刊の感想
陰陽ノ京 巻の四

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ライトノベルを中心に、ぐだぐだとバカなコメントを書きます。やってるときは燃え多め。

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