続巷説百物語 京極夏彦
続巷説百物語 作:京極夏彦 (角川書店) 新書・文庫もあります
ええ、ドラマ観れないけどドラマまでに感想上げようとしたら間に合いませんでした。
妖怪話を利用して人の中に住む悪を狩る小悪党どもの話第二弾です。
治平さんやおぎんさんの過去が語られたりして前巻の裏話的な部分もあったり、一部前巻と時系列がかぶったりしながら、「七人みさき」をキーワードにお話は展開していきます。前半は江戸で、後半は旅先で。短編集だけど話の繋がりは濃く。
仕掛けはますます大掛かりに、そして悪人たちを出し抜いていく様はますます大胆に。
アニメでやったのは「死神あるいは七人みさき」まででしたが、「老人火」はその後日談といったところ。船幽霊からはページ数はかなりあるのにそのボリュームを感じさせない怒涛の展開です。
百介が参加しなかった又市たちの最後の死闘は見事に省略されていて気になりますが、「一番怖いのは人間」というテーマで筋を通しながらほんのり温かい人間味も漂うお話でした。そしてシリーズの幕引きもあざやか。てっきり『後』にも続いてると思ったのにアレは明治の話なのですね。
ラストは少しさみしくて、戯作者として市井に戻った百介と八咫烏になった又市、陰と陽は交わることなく元の場所へ帰っていきました。心の中に確実な何かを残して。たぶん百介が百物語を書くこともないんだろう。
読み終わったあと、わりと凹んでる自分に気がついて、やっぱ私はこの小悪党共が大好きなんだと再確認。誰がなんと言おうと彼らは悪者じゃない。「金のため」なんていいわけだよなぁ。最高にかっこいい、爽快な、少し切ない物語でした。
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