わたしは虚夢を月に聴く The Night Watch under The Cold Moon 上遠野浩平

わたしは虚夢を月に聴く 作:上遠野浩平 イラスト:中澤一登 (徳間デュアル文庫)

わたしは虚夢を月に聴く (徳間デュアル文庫) ISBN : 4-19-905067-1 発行年月 : 2001.8

あ、戻ってきた。と感じた。バラバラの視点で一つの話を纏め上げていく虚無的な青春小説。好きなんだよーこれが。今回の視点は女性私立探偵と、月世界の6つの勢力の一つに属し殺し合いをしている女性大尉と、平和な時代のテクノロジーで作られて戦争が始まっても月の地図を作り続けているうさぎ型ロボットと、現実世界にほころびを見つけてしまった少女。しかしその感想は上遠野作品読みまくってるからこそ得られるものかもしれない。だってVS Imagenator IVですもん。アノ人が狂言回し。やっぱりあいつ、いいヤツなのか悪いヤツなのかイマイチわからん。(だからそういう存在じゃないって)

「月」というモチーフがせつなくてさびしくて、懐かしいものに感じるのは何故だろう。過去に小説や歌詞やらいろんな作品を読んだから、ではあるけれど、そんな作品がたくさん生まれるのは誰もがそう感じてしまう何かを持っているからでしょうか。近くて遠い存在。実は地球に大きな影響を与えていて、時に狂気を表す。そしてここではピンクの霧が死を象徴する世界。

もう、シーマスが好き。考え方も勇気もフォルムも。なぜうさぎ型なんだ! 本書くからってわざわざ紙を製造する必要があるのか! 生きていることっていうことは遊ぶってこと。なにその超楽天的思想。でも、彼が助けたたった一人は、感謝してくれるだろう。喪失感を抱えながらも、へんなオーバーテクノロジーな物体を託されても、それを使いこなしてしまいそう。

「心はどこだ」とか「答えはあなたの心の中にある」とか「自分は取り返しのつかない失敗をしてしまった」とか、考えてしまう言葉だな。そんな気分にさせられてしまっているだけかもしれないけど、その状態に持ち込めてしまう文章はやっぱすごいとしかいいようがないかも。

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ライトノベルを中心に、ぐだぐだとバカなコメントを書きます。やってるときは燃え多め。

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