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土くれのティターニア 増子二郎

土くれのティターニア 作:増子二郎 イラスト:溝口ケージ (電撃文庫)

土くれのティターニア ISBN : 4-8402-3489-2 発行年月 : 2006.7

さてさて、「花の女神」と呼ばれる学校のアイドルは昔遊んであげたことのある女の子だった! しかも付き合ってほしいことがあるという。彼女は両親が亡くなった交通事故から無傷で生還したことになっていたが、実は体の半分を山の神に捧げ、呪力のある土で補うとともにマガツモノと戦う力を手に入れていた。「さて大賀くん、ふたりでこの町を救おうか」とのことです。短編連作形式になっております。5編収録ですけどぜんぜん等分じゃありません。びっくりしたよ。

時代は学園モノなのか、そうなのか! 気弱な主人公に自分が制御できない大きな力なのか。なぜに純和モノなのにティターニアなのか。ありそでなかったと思うんですけどー現代純和モノ退魔モノ。日本刀持ってるのに武器じゃないんだぜ! なぜ黒髪と明記されるのにイラストが茶髪なのかぁ! (そんなの過去にいくらでもあったでしょ)

しかし、「まったりほんわか」なのは変わっていないのです増子さん。花の女神は実はケチだったり、普段着はジャージだったり。特に「秘密は封じて、胸のなか」がいいですね。クラスメイトの英田さんが心を読む能力を持ってしまって、とよくあるネタですけど、キャラクターといい雰囲気出してると思うんです。

良文に取り憑いている、悪運も幸運も吹き飛ばす「南国精霊(仮)」(原文ママ)の正体が明かされる日は来るのか? (手がかりがまったくないからなぁ)
南国精霊(仮)の存在を内包したまま二人が幸せになる方法はないのか?
彼女がクラスメイトからの誤解を解いて再び花の女神になるときは来るのか?
新井、英田両氏が幸せをつかむときは来るのか?
そこらへん、読みたいので続けてください。

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ポストガール4 増子二郎

ポストガール4 作:増子二郎 イラスト:GASHIN (電撃文庫)

ポストガール〈4〉 (電撃文庫) ISBN : 4-8402-2908-2 発行年月 : 2005.1

うーん、期待しすぎたかなあ。でも主人公が「人型自律機械」でなくても成立する話ばかりじゃないのかなぁ。最後の「ディパーチャー」ももう少し違う切り口がほしかったかも。最終巻だし題名からして結果は見えてるじゃないですか。新たな出会いがあるだろう旅立ちは応援したくなりますが。向こうでも独自の自意識を持ったメルクリウスに出会ったりして。それ以上に悲しい手紙もたくさん運ばなければならないかも知れないけど、シルキーのやり方で乗り越えていくでしょう。

そして温かさとか優しさは健在。「ブックワームズ」なんて本読みにはニヤリとさせる一作ですね。いいなぁ、図書館みたいな自宅。図書館って迷い込むときりがないよね。本屋とか買い占めたいとか思ったことない? 「イシュタル」もついにでましたか、といった印象の母親になったイシュタルの話。優しさゆえに記憶を失ったのか、それとも。
「アンダーグラウンド」と「ファム・ファタル」はやはり戦争を色濃く映した話。戦争が終わったことを知らずに武器を作り続ける穴倉の話と、おっちょこちょいな元テロリスト三人組の話。実力者でもチョコレートをピンはねするし、爆弾解体できても招待された結婚式にたどり着けない。ほのぼの。うーん、やっぱ大好きだなぁ。コレでお終いなんてもったいない。「ネタ切れかも、コレで終わったのは英断かもしれない」と思う反面、もっとたくさんのお話を読みたかったと思うのも真実。

増子さん新作はないのかねぇと思っていたら、8月に新作が! 「土くれのティターニア」ですって。「おかしくて、怖くて、ちょっぴり切ない青春怪異譚シリーズ登場!」うわあ期待していいですか。イラストレーターさんが未定なのが不安ではありますがとりあえずめでたい! GASHINさんでいいよ……サモクラとか忙しいのかな。楽しみにしてます。

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ポストガール3 増子二郎

ポストガール〈3〉 作:増子二郎 イラスト:GASHIN (電撃文庫)

ポストガール 3

裏表紙がめちゃかわいい! いや、口絵も問答無用で大好きだけど。前巻の登場人物が総登場する1ページがもうステキすぎる。イラストに騙されることはいいことだ。(騙される?)
内容はといえば、ロボットのバグに対する葛藤成分なんかよりは戦争後の世界観が良く出ている話が多かったかと。でも葛藤は終わって足りないものである「家族」に目線がずれてきたんでしょうかね。似たような存在はいるけれど。そんなこんなでグラムとシャンベルもヒューチャー。くすりと笑えて胸にジンと来る短編集第三弾。

エンジェル
うう、ジブのダメ彼氏に対するジブの批判が自分に痛いよ……作家志望の方だそうで。夢は見るものじゃない、叶えるものだorz
寄り道してきたステキなキス魔の天使さん。お母さんもお父さんもそれだけ愛されていれば幸せですね。

スケアクロウ
シルキーを一目でメルクリウスだと指摘した拝み屋さん。気配がないんですって。
本物かどうかわからないような拝みやさんだけど、確かに霊験はありそうなんだよね。その過去も相まって。地雷を見つけるスケアクロウ。その力を身につけたのは戦争があったから。
バグの語源ってホントに電算機に入り込んだ虫だからね。その解釈もしっくりきそう。

ギャングエイジ
シルキーに恋敵出現? でも当の男の子には恋愛感情がまったく理解できてなくて……(誤解を生む表現はやめなさい)
なんでグラムは少年の姿をしているのだろう。だからこそお嬢様の話ができたわけですが、寄り道とかしちゃうしシャンベルのような青年型のほうが配達される側も安心できるんじゃないでしょうかね……とかいいつつシャンベルのほうがメルクリウスとして脱落してるから。

シリウス
往年のTVシリーズの講演を行う旅一座にヒーローへの手紙を届けるシルキー。敵役の将軍に「部下」として大佐の地位を与えられ、講演のお手伝いをする。
星座や普段の夜でもひっきりなしに見える流星が、この世界の人には編隊を組んだ敵機に見えるという。
一人一人の力が合わさって、一つのものを克服する。世界中のみんなが一緒に星空を見上げられるようになればいいね。

ブラザーズ、シスターズ
シャンベルから来た初めての手紙は欲しいものを書き並べただけのリストだった。
キューザックさんとシルキーとグラムと学用品をたくさん積んだトラックは、シャンベルの村へと向かう。
唐突に終わってビックリした! 自分の知らない好きな相手を知っている第三者は誰でも気になるものですな。家族というかけがえのない存在を、なくさないように。きょうだい4人、うまくいくといいね。

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ポストガール2 増子二郎

ポストガール〈2〉 作:増子二郎 (電撃文庫)

ポストガール〈2〉 (電撃文庫)

戦争で荒廃した世界で、人手不足のために手紙を運ぶ機械として開発された人型自律機械のシルキー。人の形を与えられたのは、人間の心の隙間を埋めるため。求められれば朗読もするし、液体なら摂取できるのでお茶をおよばれすることもできる。が、行動プログラムと自意識システムの出す答えが異なることがある。私に芽生えた自我というバグ、それを飼ったまま私は働く。

タンデム
死んだ主人、妻の願いをかなえるために海を目指すイシュタルをお手伝いしたお話。
ナンバ歩きって、人型自律機械にも有効なんだー。先住民族は日本人らしい。
キューピッド役まで買っちゃって、ますます活躍シルキー。やっぱバグって結構普遍的なんじゃないのかねぇ。(それが目立つのはロボ同士の普通のふれあいは省かれるからじゃないでしょうか)

プリズナー
形は持たない、シルキーの先祖、狙撃機の仮想人格との小さな戦いのお話。
悲しい形で終わるけど。普遍的といえばそうかな。ロボット三原則とかないんですかそうですか。
結構意外なラストでした。

アミュレット
画家二人目。しかも春画。やっぱり恋人候補つき。
戦場で笑わなくなったヤツから死んでいくってのは妙に真実味があるような気がする。
何にでも存在する意味がある。だからすばらしい?

イン・アザー・ワーズ
シルキーとやっぱりちょっと変わった弟、グラムの兄弟喧嘩のお話。彼もなかなか個性的です。なんつーか、そんなにサボって大丈夫?
題は「Fly Me To The Moon」の売れなかった発売当時の原題だそうですね。うん、好きですよこの曲。某ED曲も宇多田ヒカルのも。
Cry Me A Riverは心当たりがなかったのでhttp://www.hmv.co.jp/product/detail.asp?sku=1521402ここで試聴してみました。うん、知らん。とてもらしいジャズなんじゃないでしょうか。

フェスタ
秋祭りのお話。孤独を感じてしまいました。
うん、祭って楽しいけど「祭のあと」って言葉があるくらい寂しさも伴ったものだと思う。
みんな強かですなぁ。それだけにニンマリできます。
しかも日本テイストがこれまた好みでございます。

うん、大好きだわこのシリーズ。

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ポストガール 増子二郎

ポストガール 作:増子二郎 イラスト:GASHIN (電撃文庫)

ポストガール (電撃文庫)

せつな系の短編連作ですよ。実はダーク・バイオレッツ1巻と同じ月に出てるのよねコレ。

戦争のあと人口が激減した世界で、手紙を運ぶ仕事をしているロボット、メルクリウス(人形自律機械)のシルキーは自意識システムと行動プログラムの出す答えが食い違うことがある、バグを持ったロボット。言い換えればとても人間らしい女の子。けれどアストロラーブ・メイルサーヴィス社の備品扱いのシルキーは、自分の感情のままに行動することを許されていない。それゆえ、欠陥品であるという自覚がある。人間に近づいている、のは目標に近づいているはずなのに、欠陥品。
そしてシルキーは胸が小さいのを気にしてたりメルクリウスの原型が抱き人形だったと強調されていたりして、そこはかとなくエロい。

数年前に読んだんですけど、作者が感動させようとしている努力が見えてしまっているような気がして好きじゃなかったんですが、最近せつないヤツに弱いので再読。うん、いいね。心が広くなったもんだ。

今回シルキーが出会うのは、届け先で1年以上お茶を飲んでいる同業者と、人間として造られ自分が人間だと思い込んでいるお姉さんと、元人間だった虫と、嘘をつくことで幸せを手に入れた女の子。

女の子がいろんなところをバイクで旅していろんな人に出会って、っつーのはキノと被っているかもしれないが、あらゆるところで正反対だと思うのです。淡々としていて心情描写が細やかで。シルキーの心はかかわった人を積極的に助けようとするし、好きな人がいるし、いろいろな人に助けられているし。

静かで、ありがちで、朴訥としていて、悲しくて、幸せで、美しい。
よく似ているといわれているヨコハマ買い出し紀行を読んでみたい。

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ライトノベルを中心に、ぐだぐだとバカなコメントを書きます。やってるときは燃え多め。

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